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2016年1月28日 40号 〜心から心へ

おかしな国ニッポン  ~当番弁護士制度の普及を望む~

「当番弁護士制度」って、ご存知ですか。25年前に、大分・福岡県でたちあがりましたが、なかなか普及していないのが実状です。万一誤認逮捕された時などに、当番弁護士をよべば、すぐにかけつけてくれて仲裁をしてくれる制度です。そういう不測の事態にそなえて、弁護士が当番で待機してくれています。福岡では、毎週土曜日に、次週の当番弁護士が知らされています。15年前「当番弁護士制度10周年記念」行事として作文募集があり、応募しました。折しも、生徒といっしょに『司法改革』(陪審制度の復活)について研究していたので、格好のテーマではあったのです。一部を省略して、掲載します。

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 自分の国を「おかしな」国と言うのは、「おかしな」ことだ。しかし、実際にそう思える事実があるなら、仕方がない。  【中略】
 民主主義の国で陪審制度(または参審制度)を取り入れるなど、国民が司法に参加していないのは日本だけであると知ったとき、生徒はたいへん驚き、憤りをあらわにした。
【中略・その後、構造改革を通して、裁判員制度が成立。国民が司法にもかかわるようになった】
 また、当番弁護士制度が国費でまかなわれているのではない、と伝えると、「それは、おかしい。なぜだ!」とたてついてくる。  【中略】
 「でもね、実は、当番弁護士制度を発足させたのは、大分と福岡県の弁護士会が初めだったんだよ。あれからもう、10年になる・・」。「えっ、本当ですか?」
 生徒の顔がパッとあがった。にわかに明るい、喜びの表情に変わる。
「福岡が起点となって、当番弁護士制度は全国に広がっていってね、今では、逮捕総数に対する当番弁護士の出動割合は、30%近くになっているんだよ」。
「それだけ、間違って逮捕されることが少なくなったということですか」。
「いや、逮捕されても、それが誤認である、と発見できる割合が増えるってことだよ」。
「何しろ、逮捕即有罪でしょ。有罪率が99.9%なら、裁判官はいらないですよね」。
「でも、冤罪が晴れても、いったん逮捕されれば、人生に致命的な打撃を受けませんか」。
「う~ん、いいところに気がつくねえ。だからこそ初動捜査や自白を強要される前に弁護士が立ち会って、それを防ごうとしているんだ」。
「でも、お金がかかるから、なかなか弁護士を呼べないこともあるんじゃないですか」。
「ただ、一回目の面会は、無料なんだよ。それに、資力があるかないかによって、弁護士を呼ぶ権利が左右されるのは、公平ではないだろう。だからこそ、国費で支える被疑者国選弁護制度が、ぜひとも必要なんだ」。
「そうですよね。逮捕された人みんなが当番弁護士を呼ぶと、今の弁護士の数だけでは足りないし、相当お金もかかる・・」。

【こうした話し合いが、延々と続く。その後、もっと真実を知りたいと、シンポジュウムや司法改革公聴会にも参加。また、弁護士や裁判官にご来校いただいて、直接に意見交換などをして、論文にまとめた】。
「当番弁護士制度」は、日弁連が生み出した「戦後最大のヒット商品」といわれる。しかし、商品は、売れて初めて価値を生む。知られることもなく、あまつさえ売れることのない商品なら、無用の長物でしかない。そのために、もっと広報活動をして、売れる商品にしていかねばならないのだ。法曹関係者も、政府が行動を興す前に、どんどん学校に出向き、若者を対象にした広報啓発活動をして欲しいと願っている。
 当番弁護士制度は、少年事件でこそ重要な役割を発揮する。少年たちは、はたして、当番弁護士制度を
知っているであろうか。少年をはじめとする若者にまで当番弁護士制度が浸透してはじめて、それは市民権を得ることができるだろう。その時、ニッポンは、もう「おかしな」国ではなく、しっかりと自立した、大人の国になっているだろう。うれしことに、福岡県の弁護士会では、再び全国の先鞭をきって、「観護」少年全員に弁護士を派遣し始めた。その英断に、エールを贈りたい。

カテゴリー: 校長通信
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