いじめ防止基本方針

いじめ防止基本方針

サビエル高等学校

はじめに

いじめは、いじめを受けた生徒の教育をうける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあり、絶対に許されない行為である。

本校においては、これまでもいじめ防止に向けた対策として、組織体制の構築をはじめ、各種学校行事での人間関係づくり等の未然防止の取り組み、1学期末の保護者懇談会、担任による個人面談やいじめアンケートの実施などによる早期発見に取り組んできた。

「いじめはどの子どもにも、どの学校にも起こりうる」という認識の下、「未然防止」「早期発見」「早期対応」の取り組みの視点に「重大事態への対応」を加え、取り組みの更なる充実を図るとともに、家庭や地域との協働やいじめ対策委員会を中核とする組織対応、外部専門家や関係機関との連携を一層強化することにより、本校におけるいじめ防止等の対策が体系的・計画的かつ具体的に行われるよう、「いじめ防止対策推進法」の趣旨を踏まえ、国の「いじめの防止等のための基本的な方針」及び「山口県いじめ防止基本方針」を参酌して「サビエル高等学校いじめ防止基本方針」を定める。

1. いじめに対する基本認識

いじめ防止対策推進法第2条に、『「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に存籍している等当該児童等と一定の人間関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの』と規定されている。いじめの判断、認知等については、その定義を基とし、表面的・形式的にすることなく、いじめられた生徒の立場に立って行う。具体的ないじめの様態は、以下のようなものがある。

◇ 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる
◇ 仲間はずれ、集団による無視をされる
◇ 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする
◇ ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする
◇ 金品をたかられる
◇ 金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
◇ 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする
◇ パソコンや携帯電話で、誹謗中傷や嫌なことをされる等

これらの「いじめ」の中には、犯罪行為として取り扱わせるべきと認められ、早期に相談することが重要なものや、生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては、いじめた児童生徒への教育的な配慮やいじめられた生徒の意向への配慮の上、早期に警察に相談・通報し、連携した対応を取る。

いじめを根絶するために、
「いじめは絶対に許されない」
「いじめは卑怯な行為である」
「いじめは、どの生徒にも、どの学校でも、起こりうる」
という認識をしっかりと持つ。

  • いじめられている生徒の立場に立ち、絶対に守り通す。
  • いじめる生徒に対しては、毅然とした対応と粘り強い指導を行う。
  • いじめを自らの問題として考えさせ、いじめを許容しない雰囲気を育てる。
  • 保護者との信頼関係を築き、地域、関係機関との連携に努める。

2. 基本的施策・いじめの防止等に関する措置

2-1.未然防止に向けて

キリスト教精神に基づいた人権尊重に関わる教育活動を通して、互いの人権の大切さに気づく豊かな感性を育み、一人ひとりの存在を認め合い、互いに個性を尊重できるようになることを目指す。そして生徒が主体的にいじめ問題について考えていくことができる土壌を育てる。

学校の教育活動を通した取り組み

  • 各教科での授業において、生徒が授業者から受ける影響は大きい。教科に関する指導のみならず、生徒の様子を常に観察し、適切な助言、指導を行う。
  • 特に総合的な学習(宗教教育)を通して、人権尊重に関わる題材を積極的に扱い、生徒がいじめ問題を自分のこととして考え行動できる集団づくりに努める。
  • 学級活動をはじめ、学校行事、生徒会活動及び部活動などをとおして規範意識や集団のあり方などについての学習を深める。
  • 講習、教科情報の授業等で情報モラルに関する指導を行い、インターネット上のいじめ等への対策に努める。

教職員の資質能力の向上

  • 校内研修会、情報交換会を行う。
  • 教職員自身が人権意識を高め、体罰や言葉の暴力を絶対に行わない。
  • 教職員の言動でいじめを誘発・助長・黙認することがないよう細心の注意を図る。

教育相談体制の充実

  • 学校生活でのストレス、悩みの解消を図るために、スクールカウンセラーの利用。

生徒理解に努める

  • 各教職員、それぞれの立場での声かけなどにより生徒の様子を注視する。

家庭・地域社会との連携

  • 地域や関係機関との情報交換を行い連携を深める。
  • 保護者の方との情報交換、連携に努める。
  • ウェブサイト、校長通信などを通じて、日頃の生徒の様子を伝えていく。

「いじめ対策委員会」を置く

  • 学校いじめ防止基本方針の策定、見直し。
  • 学校いじめ防止基本方針に基づく取組の実施。(アンケート調査、定期的な会議を行い情報収集)
  • 学年団、担任等への情報提供、情報共有。

2-2.早期発見に向けて

いじめは、大人の目の届きにくいところでの発生が多い。全教職員が連携・協力し、その実態把握に努める。

早期発見に向けての体制

  • 学級担任、副担任、教科担当教員、養護教諭、部活動顧問等との連携を密にする。教職員間での情報共有。生徒支援会議、職員会議等(生徒の状況に関する情報交換)
  • 保護者、教職員間で情報を共有する。

早期発見に向けた取り組み

  • 日頃の声かけ。
  • 生徒の行動を注視する。(HRでの様子、部活での様子、各授業での様子など)
  • 学期毎にアンケート調査を行う。
  • 必要と思われる生徒に対してスクールカウンセラーによるカウンセリング。

2-3.早期対応に向けて

いじめ問題が発生したときには、詳細な事実確認に基づき早期に適切な対応を行う。関係する生徒や保護者が納得する解消を目指す。

いじめを認知した時の体制と取り組み

  • いじめられている生徒および保護者の立場に立ち、詳細な事実確認を行う。
  • 学級担任等だけで抱え込むことがないように、学校全体で組織的に対応する。※ 学年団及び生徒支援チーム等の協力いじめ対策委員会、職員会議
  • いじめの内容等によっては、生徒指導規則に照らし合わせ懲戒処分等を行う。
  • 法を犯す行為に対しては、早期に警察等に相談して協力を求める。
  • 事実に基づき、生徒および保護者に対して説明責任を果たす。
  • いじめが解消した後も、関係生徒の行動等に気を配りフォローしていく。
  • 当該生徒への支援、指導の在り方を保護者と共に考え、今後の学校生活における人間関係の再構築を支援する。

いじめられている生徒への対応

  • これまでの心の痛みや不安感等、共感的に理解するとともに全教職員で支えていく。
  • 現状報告等、保護者と情報共有のもと、問題解決に努める。
  • 事後のフォロー( 精神的な安定、人間関係の修復等) を継続的に行う。

いじめている生徒への対応

  • いじめにいたった経緯、背景について十分に話を聞く。その上で、相手の立場に立って考えさせ、同じような行為を繰り返さない気持ちを持たせることを指導する。
  • いじめは集団で行われる場合が多く、罪悪感が少ない特徴がある。いじめる生徒には行為の善悪をきちんと理解させ、本当に反省できるよう指導する。

周りの生徒への対応

  • いじめを面白がったり、見て見ぬふりをすることもあってはならないことである。いじめられた生徒の立場に立ってきちんと考えさせる。
  • いじめを見聞きした場合、自分たちで静止できなければ必ず教職員に相談することの徹底。

※インターネットや携帯電話を利用したいじめへの対応

  • 基本的には他の早期対応と同様に対処するが、以下のことに注意し、必要に応じて関係機関と連携し解決していく。
    ・匿名性が高いこと。
    ・情報は不特定多数に対して発信されること。
    ・アプリ等によっては閉鎖性が高く、いじめの温床となる可能性があること。
  • 特に掲示板等への不適切な書き込みについては、被害の拡大を防ぐため、速やかに当該生徒に削除させる、あるいは運営サイトへの削除依頼等により被害の拡大を防ぐ。

2-4.重大事態への対処

重大事項とは(いじめ防止対策推進法第28条より)

一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき(児童生徒が自殺を企図した場合等)

二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあるとき(年間30日を目安とするが、児童生徒が一定期間連続して欠席しているような場合は学校の判断で重大事態と認識する)

※生徒やその保護者からいじめられて重大事態に至ったという申し立てがあったときは、学校は重大事態が発生したものとして真摯に対応する。

  • 暴力行為や不登校等がいじめによる重大事態であると判断された場合、いじめられている生徒の心身の安全の確保を最優先に、いじめの解決に向けた取り組みを行う。
  • いじめによる重大事態が発生した場合、関係部局を通じて県知事へ事態発生について報告。
  • 事態への対処および同種の事態の発生の防止に資するため、生徒支援チームを中心とした組織を設け事実確認等の調査を行う。その際、いじめを受けた生徒およびその保護者に対し必要な情報を適切に提供する。
  • 調査結果については関係部局を通じて県知事に報告する。

3. いじめ防止のための組織

いじめ防止対策委員会を置く。
※ 既存の生徒支援チームを実働的な組織とする。

いじめ防止対策委員会

構成管理職、生徒支援チーム(生徒指導部長、養護教諭、スクールカウンセラー含む)+α(関係教職員等)
役割
  • 学校いじめ防止基本方針の策定。
  • 学校いじめ防止基本方針に基づく取組の実施。
  • いじめの疑いにかかわる情報があった時の緊急会議の開催。
  • 学校いじめ防止基本方針の見直し。

生徒支援チーム

構成生徒支援チーム部長、他担当教員(生徒指導部長、養護教諭、スクールカウンセラー含む)
役割
  • いじめの疑いに関する情報収集と記録、関係部署との共有。
  • 定例会議でのいじめに関する情報交換、および情報共有。
  • いじめの疑いにかかわる情報を得た場合、迅速な情報収集、共有、指導や支援の体制、保護者連絡等の対応。

2014年6月策定